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インターネットの「配管」を握っているのは誰か DNSとレジストラーの市場シェア2026

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2社で全ドメインの4分の1のDNSを担い、その企業が隠しているシェル法人を解きほぐすと、1社だけでほぼ5分の1のドメインを登録していることが分かります。今回、webatlaが持つ約4億500万件のドメインの全インデックス(2026年6月時点のスナップショット)を取得し、権威ネームサーバーとレジストリの記録を突き合わせて、インターネットの配管を実際に握っているのは誰かを調べました。これがDNSプロバイダー市場シェア2026ドメインレジストラー市場シェア2026の全体像であり、生のランキング表がひっそりと過小評価している企業統合の実態も明らかにします。あわせて、今も稼働し続けている最古のドメインもご紹介します。

DNSはどれほど集中しているのか

まずはDNSから見ていきます。ほとんどの人が意識することのないレイヤーでありながら、あらゆるリクエストがこれに依存しているからです。約4億500万件のドメインすべてを権威ネームサーバーのプロバイダーごとに分類しました。上位を示す表は次のとおりです。

DNSプロバイダー市場シェア2026 - ネームサーバープロバイダー別の全ドメインに占める割合
DNSプロバイダー市場シェア2026 - ネームサーバープロバイダー別の全ドメインに占める割合
順位 ネームサーバープロバイダー 運営会社 全ドメインに占める割合
1 domaincontrol.com GoDaddy 14.24%
2 cloudflare.com Cloudflare 10.65%
3 googledomains.com Google Cloud DNS 2.81%
4 registrar-servers.com Namecheap 2.79%
5 afternic.com GoDaddy / Afternic 2.49%
6 ui-dns.biz IONOS 2.32%
7 dns-parking.com 2.27%
8 wixdns.net Wix 1.76%
9 hichina.com Alibaba Cloud 1.52%
10 share-dns.com 1.01%

見出しとなる数字はこちらです。わずか2社、GoDaddyのdomaincontrol.comCloudflareだけで、全ドメインの24.90%のDNSに応答しています。(GoDaddyの実際の勢力圏はさらに大きく、5位のafternic.comが2.49%を占めていますが、これもGoDaddyです。)上位5社で32.98%、上位10社で41.87%、上位20社で49.23%に達します。特定できた37社で全ドメインの55.23%をカバーしています。これが2026年におけるDNS集中の実態です。自前運用やニッチなネームサーバーが長い裾野を形成し、その下にごく短いヘッドが乗っている構造です。

DNS集中がシステミックリスクである理由

これは単なる豆知識にとどまりません。DNSは単一障害点です。ネームサーバーのプロバイダーが落ちれば、サーバー自体は無事でもドメインは事実上消えてしまいます。あるプロバイダーが全ドメインの10%以上に応答している場合、そのプロバイダーの不調はそのままインターネット全体の不調になります。教科書的な事例は、2016年10月にマネージドDNSプロバイダーのDynが受けたDDoS攻撃です。この攻撃により、Twitter、Spotify、Reddit、Netflix、PayPalが数時間にわたってアクセス不能になりました。これらの企業自体に問題があったのではなく、1つのDNS依存先を共有していたことが原因でした。同様の事態は今も繰り返されています。2025年11月18日にはCloudflareの内部エラー1件で、X、ChatGPT、Claude、Shopifyが同時にダウンしました。集中は利便性と引き換えにレジリエンスを失わせます。Cloudflareの10.65%とGoDaddyの約14%は、単に大きな企業というだけではありません。ウェブの相当な部分にとって共有の依存先になっているということです。インフラやセキュリティを運用している方、あるいはリスクを引き受ける立場の方であれば、DNSデータセットを使うことで、憶測に頼らず自社の露出度を実際に測定できます。

ドメインレジストラー市場シェア2026 ランキング表とその裏にあるもの

ドメイン登録についても似たような話ですが、大手レジストラーのランキングは生の数字のまま読むと積極的に誤解を招きます。巨大企業が複数の法人名義で同時に登録を行っているためです。

ドメインレジストラー市場シェア2026、生データと運営会社別に統合したデータの比較
ドメインレジストラー市場シェア2026、生データと運営会社別に統合したデータの比較

以下が生データによるランキングです。単一の法人ごとの全ドメインに占める割合を示しています。

順位 レジストラー(法人名) 全ドメインに占める割合
1 GoDaddy.com LLC 16.91%
2 NameCheap Inc 5.29%
3 Tucows 2.55%
4 Squarespace Domains II 2.02%
5 Hostinger 1.95%
6 Dynadot Inc 1.88%
7 Gname 1.78%
8 GMO / Onamae 1.75%
9 Spaceship 1.67%
10 IONOS SE 1.66%

生データでは、上位5社で28.72%、上位10社で37.45%を占めています。掲載されている100社のレジストラーで、全ドメインの70.52%をカバーしています。

生データのランキングに隠れたシェル法人

問題は、「GoDaddy.com LLC」がGoDaddyの持つICANN認定レジストラーのひとつにすぎないという点です。GoDaddyはWild West Domains, LLC(IANA ID 440を持つ別の認定法人)を所有しているほか、他にも複数の法人を運営しています。各運営会社が登録に使っている複数の法人名を統合すると(IANAのレジストラーID登録簿と照合しながら手作業で行った、webatla独自の分類手法です)、状況は一変します。

運営会社 統合後シェア 法人数 最大の単一法人
GoDaddy 19.64% 7 16.91%
Namecheap 6.06% 2 5.29%
Squarespace / ex-Google Domains 3.13% 2 2.02%
Tucows 2.55% 1 2.55%
Dynadot 2.40% 2
Alibaba Cloud / HiChina 2.20% 3
Hostinger 1.95% 1 1.95%
IONOS 1.90% 2
NameSilo 1.78% 2
Gname 1.78% 1 1.78%

**弊社データにあるGoDaddyの7法人を統合すると、シェアは16.91%から19.64%へと跳ね上がります。**生データのランキングでは見えていなかった、実に3ポイント近いシェアです。統合後で見ると、上位3社の運営会社で全ドメイン登録の28.83%を支配しています。

最も劇的な再分類が起きるのは4位です。**「Squarespace Domains II LLC」は、文字通りGoogle Domainsのレジストラーが名前を変えたものです。*証拠は明快です。IANAのレジストラーIDは恒久的なもので、再割り当てされることはありません。Googleのレジストラーが持っていたIANA IDは895で、IANAのレジストリでは現在、ID 895は「Squarespace Domains II LLC」として登録されています。Squarespaceは2023年に、約1000万件のドメインを抱えるGoogle Domainsの事業を買収し、その法人をそのまま引き継ぎました。(紛らわしいことに、先のDNSの表に出てきたgoogledomains.comのネームサーバーは今もGoogle自身のCloud DNSのままで、Squarespaceに移ったのはレジストラー*事業だけです。)同様に、Alibaba Cloud、HiChina、WanwangはIANA ID 1599を持つひとつのレジストラーであり、Network Solutions、Register.com、Domain.comはいずれもNewfold Digitalに統合されます。この系譜をご自身で調べたい方は、レジストラーと登録日のフィールドがRDAP/WHOISデータセットに含まれています。RDAPを標準として採用した理由については、RDAP vs WHOISの記事で解説しています。

ブランド保護レジストラーと量販レジストラー

ここからが直感に反する部分です。量を稼ぐ巨大企業は、インターネットの看板となるドメインを持っていません。弊社データでは、有名で価値の高いドメイン名は、企業向けのブランド保護専門レジストラーに集中しています。

レジストラー 弊社データにおける保有例
MarkMonitor google.com, googleapis.com, youtube.com, gstatic.com
CSC Corporate Domains twitter.com, ibm.com, att.com, nginx.org
Cloudflare Registrar cloudflare.com, discord.com, ietf.org

GoDaddy、Namecheap、Hostingerが押さえているのは、つまり数千万件規模のありふれたドメインです。しかし、フォーチュン500企業の法務部が夜も眠れなくなるような名前は、MarkMonitorやCSCに集まっています。そこで売りにされているのは価格ではなく、セキュリティと商標防衛です。件数によるシェアと、価値によるシェアは、まったく別の地図なのです。両方を描き出せるのがAll Data統合データセットです。

インターネット最古のドメイン

レジストリの登録日をアクティブドメインのリストに結合すると、インターネットの生きた化石とも言える存在、つまり今も登録され、名前解決され続けている最古のドメインが浮かび上がります。

1985年のsymbolics.comから始まる、今も登録され続けている最古のドメインのタイムライン
1985年のsymbolics.comから始まる、今も登録され続けている最古のドメインのタイムライン
ドメイン 登録日 現在のレジストラー(弊社データ)
symbolics.com 1985-03-15
think.com 1985-05-24 MarkMonitor
mitre.org 1985-07-10
dec.com 1985-09-30 Squarespace
northrop.com 1985-11-07 CSC
xerox.com 1986-01-09 MarkMonitor
hp.com 1986-03-03
bellcore.com 1986-03-05 CSC
ibm.com 1986-03-19 CSC
intel.com 1986-03-25 MarkMonitor
att.com 1986-04-25 CSC

**1985年3月15日に登録されたsymbolics.comは、史上初の.comドメインであり、今も稼働しています。**その背後に並ぶのは1980年代のコンピューター業界の顔ぶれです。Lispマシンのメーカー、Digital Equipment、Xerox、HP、IBM、Intel、AT&T。このうち多くが今はMarkMonitorやCSCに落ち着いていることに注目してください。ネットワーク上で最も古く、最も価値の高い名前にも、同じブランド保護のパターンが当てはまっているのです。

日付に関する正直な注意点

データの中には、明らかに偽物と分かるタイムスタンプを持つレコードもいくつかあります。nordu.netは1985-01-01というスタンプが付いており、.seドメインの一群もそろって1985-01-17となっています。これらの日付はsymbolics.comより古いのですが、実際の登録ではなく、レジストリのデフォルト値やプレースホルダーである可能性がほぼ確実です。そのため、これらを「最初の.comより古い」とは主張しません。検証可能な最初の.comは、1985-03-15に登録されたsymbolics.comです。派手な数字よりも、こうした事実を素直に述べることのほうが重要だと考えています。データに弱点があるなら、後から気づかれるのではなく、私の口から先にお伝えすべきだからです。

「これほど深い集中は、些細な話ではなく、システミックリスクの問題です。生データを自分で持つことの意味は、自分自身の露出度を測定できる点にあります。ベンダーがどれだけ自分たちに依存しているかを、ベンダーのダッシュボードを信じて教えてもらう必要はありません。」(webatla CEO、Alan)

方法論

この分析を判断し、再現していただけるよう、いくつか補足します。

  • 対象範囲と時点。 この分析は2026年6月に実施しました。すべての数値はその月の一時点におけるスナップショットであり、ドメインの新規登録、失効、移管に伴って変動します。すべての数値は、webatlaが持つ約4億500万件のアクティブドメインの全インデックスに対するシェアです。DNSのシェアは各ドメインの権威ネームサーバーのプロバイダーから算出し、レジストラーと登録日の数値はレジストリ/RDAPの記録から取得しています。
  • 法人統合は弊社独自のものです。 生データのレジストラー表は、レジストリが報告するとおりの単一法人をそのまま反映しています。統合後の表はwebatla独自の分類です。認定を受けた各法人を、IANAのレジストラーID登録簿と照合したうえで実際の運営会社に対応付け、GoDaddyの7法人、Alibabaの3法人、そしてSquarespaceが引き継いだGoogleの事業を、それぞれ正しい親会社の下で1件として数えています。何を統合したのかがそのまま分かるよう、生データと統合後のデータの両方を公開しています。
  • SQLは不要です。 これは登録日とネームサーバーのデータを、2つのファイルにまたがって結合しただけのものです。ここに出てくる数値はすべて、スプレッドシートでピボットできる列にたどり着きます。クエリエンジンは必要ありません。
  • 不確かなデータには印を付けています。 プレースホルダーの登録日(1985-01-01 / 1985-01-17のレコード)は生データには残していますが、「最初の.com」という主張からは除外しています。

よくある質問

2026年に最も普及しているDNSプロバイダーは何ですか。 GoDaddyのdomaincontrol.comで、全ドメインの14.24%の権威ネームサーバーとなっています。これに僅差でCloudflareの10.65%が続きます。この2社を合わせると、インターネットのDNSの24.90%に応答していることになります。

最もドメイン数が多いレジストラーはどこですか。 GoDaddyです。その主力法人であるGoDaddy.com LLC単体で全ドメインの16.91%を保有しており、弊社データにあるGoDaddy各法人を統合すると19.64%に達します。ドメイン数で見て、他社を大きく引き離す最大のレジストラーです。レジストラーのフィールドはRDAP/WHOISデータセットに含まれています。

最初の.comドメインは何でしたか。 1985-03-15に登録されたsymbolics.comで、今日も稼働し続けています。生データの一部のレコードには、これより早いプレースホルダーの日付(1985-01-01など)が含まれていますが、これらはレジストリのデフォルト値であり、実際の登録ではありません。

Squarespaceは本当に旧Google Domainsのレジストラーなのですか。 そのとおりです。「Squarespace Domains II LLC」は、Google Domainsを保有していた法人が名前を変えたものです。恒久的で再割り当てされることのないIANAレジストラーID 895は、今も同じ登記上のレジストラーを指し続けています。

ドメイン市場全体としては、どれほど集中しているのですか。 DNSでは上位2社が全ドメインの24.90%、上位10社が41.87%をカバーしています。レジストラー側では、上位10法人で37.45%、運営会社別に統合すると約43.4%に達します。集中度はヘッド部分で高く、そこから長い裾野へと落ちていく構造です。

データを取得して、自分で測定する

ベンダーのダッシュボードが見せてくれるのは、そのベンダーが切り取った一部分だけです。生データがあれば、DNSの集中度、レジストラーの所有構造、ドメインの年齢など、市場全体を自分の条件で測定できます。

カタログ全体はデータセットページ料金ページ →からご覧いただけます。このデータを初めて使う方は、まずアクティブドメイン全件リストのダウンロード方法から読んでみてください。その後、AIドメインブーム2026年第1四半期に急成長したTLDTLDの勢力図にどのような影響を与えているかもご覧ください。

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M
Marina
データライター · webatla

webatlaのデータセットの裏側にあるデータジャーナリズム、ドメインの動向、技術の普及状況、そしてインデックスの構築方法について執筆しています。

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